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「疑問投げ掛け議論を」 中満・国連事務次長が指摘

 国連ユニタール広島事務所(広島市中区)の設立15周年を記念するセミナー「広島から考える国連軍縮アジェンダ」が6日、中区の広島商工会議所ビルであった。国連軍縮部との共催。専門家5人が軍縮の道筋を話し合い、市民や学生ら約140人が聞き入った。

 平和記念式典にも参列した中満泉・国連事務次長は、核兵器禁止条約に関して「未署名の日本でも国民が疑問を投げ掛け、議論することが大事だ」と指摘。軍縮交渉には女性の役割も大きいとし、数値目標を示して女性参加を促す考えを示した。立教大の長有紀枝教授(国際関係)は「紛争の長期化で、平和の記憶が薄れた国があることも軍縮を難しくしている。対話しか道はない」と強調した。

 教育の重要性や、人工知能(AI)などの科学技術を軍事利用しない倫理の在り方も議論に上った。京都大法学部の浅田正彦教授は「大学教育で軍縮の位置付けを高め、軍縮マインドを持った卒業生が政策作りに携わるような長い目の施策が必要」と提起した。

 同事務所は今後も年数回、軍縮や持続可能な開発などをテーマに、専門家が参加者の疑問に答える対話型セミナーを開く予定。

 中満氏はこの日、広島県庁で湯崎英彦知事とも意見交換した。(馬場洋太)

(2018年8月7日朝刊掲載)

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