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艦載機移転延期へ 岩国市・山口県 受け止め冷静 普天間問題

 米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転が2014年から先延ばしされる見通しが明らかになった22日、基地の地元岩国市や山口県は、国の方針を冷静に受け止めている。そもそも市と県は、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の解決を移転条件に掲げていた。移設問題が難航する現状では、移転は困難との見方もある。(酒井亨、大村隆、堀晋也)

 山本繁太郎知事は会見で、延期については具体的に聞いていることはないと強調。「米軍再編の全体はパッケージであり、艦載機移転を受け止めることが沖縄の負担軽減につながるというのは非常に大事なポイント」と、これまでと同様の見解を述べた。

 岩国市の福田良彦市長も「国から詳細を聞いてみないとよく分からない」と話し、25日にも行われる国からの説明を待って対応する考えを示した。

 基地監視団体リムピース共同代表の田村順玄市議は「普天間の移設問題で米軍再編そのものが滞っている。加えて陸上空母離着陸訓練(FCLP)の施設決定と訓練空域の調整も終わっていない。艦載機移転が遅れるのは必然だ」と指摘する。

 米軍再編に協力姿勢の岩国市議でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」の桑原敏幸会長は「移転先延ばしになっても岩国にとって何の支障もない。(米軍住宅の建設が予定される)愛宕山地域開発事業跡地はすでに国が買っており、地元として対応に困ることはない」と強調した。

 一方、基地問題に詳しい元県議の久米慶典さんは「移転が遅れたとしても将来、岩国がアジアにおける米軍の重要拠点になることに変わりはない。どれだけ大きな負担が生じるのか不明なのが問題だ」と警戒した。

 岩国基地内では給油タンクや駐機場舗装など、艦載機受け入れに向けた施設工事が進んでいる。下士官宿舎の設計や建設工事の発注も今後控えている。愛宕山跡地でも測量や基本設計が終わり、2階建ての米軍住宅などの実施設計が3月中旬に発注される。

(2013年1月23日朝刊掲載)

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