×

ニュース

尾道・三原でも慰霊深く 原爆の日 高齢化で記憶継承課題

 広島原爆の日の6日、尾道市と三原市でも慰霊式典があった。被爆者の高齢化などにより、記憶の継承が課題になる中、参列者は平和の誓いを新たにした。(中間卓也、田中謙太郎、政綱宜規)

 尾道地区原爆被害者の会は尾道市東尾道の慰霊碑前で開き、会員や地元の中学生たち約30人が参列。慰霊碑に献花した後、原爆が投下された午前8時15分に黙とうした。

 この1年で亡くなった3人の名前を加えた435人の死没者名簿を奉納した。事務局長の佐伯百合子さん(89)は「高齢化などで会の活動は年々難しくなってきている。来年以降もできる限り続けたい」と話していた。

 同市御調町の御調文化会館では、御調町原爆被害者協議会が追悼法要を開いた。被爆者たち17人が出席。この1年で亡くなった被爆者4人の名前が読み上げられた。同協議会の溝上泰会長(86)は「核廃絶への道は厳しいが、世界中の人々が他人への思いやりを持つことが必要」とあいさつした。

 会員の高齢化で、式典の継続が課題。溝上会長は「被爆者だけでなく、平和活動に取り組む人々に後を継いでもらうのも選択肢の一つ」と語った。

 三原市原爆被害者之会は、同市本町の慰霊碑前で式典を開き、約60人が参列。新たに26人を加えた計599人分の死没者名簿を碑に納めた。苞山(ほうやま)正男会長(89)は、日本政府が核兵器禁止条約を支持していない状況について「被爆者として先頭に立ち、国に条約を認めさせる」と決意を述べた。

(2018年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ