×

ニュース

「核」語り継ぐ ペンの力 児童文学者ら広島でシンポ

 日本ペンクラブのフォーラム「子どもの本と『核』を考える」が26日、広島市中区の原爆資料館であった。東日本大震災以降、若い世代に向けて、原爆や戦争を語り継ぐ作品を発表している作家たちが意見交換した。約180人が参加した。

 会長の浅田次郎さんが基調講演し、原発事故の影響が続く福島やチェルノブイリの現状を報告。「経済や安全性だけでなく、子や孫まで引き継ぐ倫理的な問題として、原発事故と向き合わなければならない」と指摘した。

 作家野上暁さんの進行によるシンポジウムには、児童文学者と詩人4人が登壇。模擬原爆を題材にした令丈ヒロ子さんは「読者に想定した小学生より、小中学校の先生の反響が大きかった」と振り返り、朽木祥さんは「他者の痛みを共有するのが文学の力だ」と語った。

 被爆者でもある那須正幹さんは「原爆や戦争に挑戦する若い作家が増えている」と喜び、詩人アーサー・ビナードさんは「表現者には、生活者の視点で原爆や原発の本質を見抜く言葉をつくる責任がある」と呼び掛けた。(渡辺敬子)

(2013年1月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ