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島根原発 全停止1年 稼働時期なお不透明 安全対策 長期化も

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)は27日、定期検査に伴う2号機の停止から丸1年を迎えた。福島第1原発事故の影響で、1号機も含めた全停止の期間は1年となり、過去最長を更新し続ける。再稼働の条件となる原子力規制委員会の安全基準は7月まで示されない上、さらに安全対策を求められる可能性もあり、稼働時期は依然不透明だ。(樋口浩二)

 2号機の定期検査について中電は当初、昨年6月に主な工事を終える予定だった。その後、規制委の前身の原子力安全・保安院が再稼働の条件としていた安全評価(ストレステスト)を提出、保安院の審査を経て再稼働を急ぐ計画だった。

 同8月に提出したものの、同9月に発足した規制委はストレステストを「参考」扱いにとどめ、稼働の是非を評価する新たな安全基準を設けると決定。中電は「規制委に従う」スタンスを示し、再稼働の時期がずれ込むことになった。

 さらに、規制委が今月21日に示した安全基準の骨子案では、原子炉の冷却機能の喪失などに備える「特定安全施設」と、放射性物質の排出を抑えるフィルター付きベント設備の設置が盛り込まれた。

 中電が進める安全対策に照らせば、特定安全施設は未着手、ベント設備も設計中で完成は2015年度だ。規制委が厳密に稼働条件とすれば、定期検査で停止中の1号機、建設中の3号機も含め稼働はさらに遅れる。

 稼働には規制委の審査など国の判断に加え、立地する島根県と松江市の同意も必要となる。溝口善兵衛知事は「規制委の基準を待つ」と、7月以降に判断する姿勢を示す。

 中電島根原子力本部は「規制委の安全基準に対応するのに加え、現状に満足せず安全性を高めたい」としている。

(2013年1月27日朝刊掲載)

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