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島根の戦争記録 収集 有志6人 19年度末までに目録

 島根大(松江市)の教員や島根県の郷土史家ら6人が、戦争に関する島根県民の体験記の収集に乗り出した。これまで県内の戦争記録を整理した資料はないといい、2019年度末までに目録を作成。提供された図書を同大付属図書館などに収蔵する。戦後73年で記憶の風化が進む中、「最後のチャンス」と協力を呼び掛けている。

 対象は、従軍や入植、原爆、空襲、疎開、軍事訓練の体験をつづった手記など。慰霊碑建立・保存、補償要求、遺族会、平和教育といった戦後の活動の情報も求める。太平洋戦争中心だが、時期は限らない。

 同大現代史学研究室を事務局とし、来月に県内の全図書館、市町村教委、公民館に、関係図書や資料の有無を尋ねるアンケート用紙を送付。原本の無償提供も依頼する。民間からも募り、20年3月末までに書名や刊行年を記した目録を作る。原本は同大か県立図書館(松江市)に収蔵。収集成果のデータベース化も検討する。

 事務局によると、県内では太平洋戦争末期の1945年7月に米軍機の機銃掃射などがあった。各地の公民館や団体が戦後に戦争体験を記録したが、全容は把握できていないという。

 呼び掛け人の一人、同大法文学部の板垣貴志准教授(39)=庶民生活史=の研究室に2016年度に所属した広島の被爆3世の女子学生が、島根の戦争記録を調べようとして断念。これに危機感を抱いた有志が集まり、今回の活動につながった。元島根史学会会長で呼び掛け人代表の池橋達雄さん(86)は「島根での戦争、銃後体験が忘れられる前に、記録を網羅的に集めて末永く生かしたい」と話す。同大現代史学研究室☎0852(32)6197。(秋吉正哉)

(2018年8月16日朝刊掲載)

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