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原爆症認定 海外申請審理へ訴訟を検討 在外被爆者ら

■記者 野田華奈子

 原爆症認定の海外からの申請を実現するため、在外被爆者と支援者らが訴訟を検討していることが20日、分かった。在ブラジル被爆者手帳訴訟の控訴審口頭弁論が広島高裁であり、閉廷後の報告集会で支援者らが言及した。

 在外被爆者を支援している田村和之・龍谷大法科大学院教授が「具体的にはまだだが、新しい裁判をやらないといけないという気持ちでいる」と述べ、提訴に前向きな姿勢を示した。「海外申請が可能になれば医療援護につながる」としており、在外被爆者問題の早期解決を図りたい考えだ。

 原爆症の認定基準は緩和され、法改正で被爆者健康手帳の海外からの申請が実現したが、原爆症の認定申請には来日要件が残る。

 17日にあった超党派の国会議員でつくる「在外被爆者に援護法適用を実現させる議員懇談会」で、米国、韓国、ブラジルの被爆者が海外からの申請を認めるよう要望。厚生労働省側は「在外公館などと協力体制を検討している」と述べるにとどまっていた。

(2009年2月21日朝刊掲載)


原爆症申請 改善求める 在外被爆者


■記者 岡田浩平

 超党派の国会議員でつくる「在外被爆者に援護法適用を実現させる議員懇談会」が17日、国会内であり、米国、韓国、ブラジルの被爆者が、海外からの原爆症の申請を受け付けるよう要望した。

 3カ国の被爆者4人と議員、厚生労働省の担当者が出席。ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(84)は、原爆症の申請が日本に来なければできない点に不満を表明。「恩恵を受けられない。日本の被爆者と同じようにしてほしい」と、早期に海外からの申請を認めるよう求めた。

 法改正で被爆者健康手帳は海外から申請できるようになった。原爆症も認定の基準が緩和されたが、海外からの認定申請はできない。厚労省側は「在外公館などと協力体制を検討している」と述べるにとどまった。

 韓国原爆被害者協会の金龍吉(キムヨンギル)会長(69)と米国原爆被爆者協会の遠藤篤会長(79)も、国家賠償や医療費の助成について改善を求めた。

(2009年2月18日朝刊掲載)

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