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旧満州引き揚げ 漫画で 山口で展示 幼少期描く赤塚・ちば作品

 旧満州(中国東北部)からの引き揚げ体験などを描いた漫画展が17日、山口市の市民会館で始まった。「天才バカボン」の故赤塚不二夫さんや、「あしたのジョー」のちばてつやさんら漫画家12人が大陸での幼少期の記憶を振り返り、戦時下の労苦を伝えている。19日まで。無料。(和多正憲)

 中国での過酷な体験や祖国への思いをイラストと解説で表現した作品72点を展示する。子どもの視点で眺めた戦中の日常生活についても、時にユーモアを交えながら活写する。

 赤塚さんは、母子5人での引き揚げ時を描き「でっかいリュックを背負ってかあちゃんにしっかりとつかまって」との一文を添える。ちばさんは帰国直前の港の熱気と興奮を伝え「引き揚げ船は大きくてたくましく見えた」。「釣りバカ日誌」の北見けんいちさんも空襲に備えた防火訓練を個性的な明るいタッチで描いた。

 呉市で終戦を迎えたという無職谷本育紀さん(78)=山口市=は「私の幼少期と重なる風景も多い。どれも帰国への強い思いを感じる」と見入っていた。市民でつくる実行委員会が毎夏開く「山口・平和のための戦争展」の一環で企画。同実行委は「漫画で分かりやすく戦争体験を伝えている。若い世代もぜひ訪れて」としている。

(2018年8月18日朝刊掲載)

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