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エノラ・ゲイ 乗組員の肉声 75・76年ごろの録音テープ 資料館に保管

投下過程など 未公開の発言も

 広島に原爆を投下した米軍B29爆撃機エノラ・ゲイ号の乗組員たちへのインタビューを収めた録音テープが、原爆資料館(広島市中区)に寄贈された。機長が爆発を確認して「とても安心した」と述べるなど、当時の様子を振り返る発言がある。同館は研究者向けなどに公開できないか検討する。(明知隼二)

 書籍「エノラ・ゲイ―ドキュメント・原爆投下」(1977年)を執筆するため、英作家ゴードン・トマス氏たちが取材したとみられる。テープ27本(約30時間)と書き起こしの冊子15冊(約570ページ)で、いずれも複製の可能性が高い。国内の民家で見つかり、昨年6月に寄贈された。

 インタビューは75、76年ごろ、ポール・ティベッツ機長やトーマス・フィアビー爆撃手たち関係者12人に、投下に至る過程などを聞き取っている。同館によると、ティベッツ氏が「(原爆が)爆発したと分かりとても安心した」と述べ、書籍に盛り込まれなかった発言として確認できた。

 同館は「公になっていない発言が記録されている可能性がある」と指摘。研究者が検証できるよう、関係者に公開許可を求めることも検討する。

 ティベッツ氏は80年、中国新聞のインタビューに対し「与えられた特別な任務を忠実に果たした」「原爆投下でもっと多くの人命を救ったと信じている」と発言している。

(2018年8月21日朝刊掲載)

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