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社説・コラム

[ハロー ユニタール] 「魔法の杖」存在しない

 国連ユニタール広島事務所と国連軍縮部は6日、広島市中区で軍縮にまつわる課題や道筋を考えるパネルディスカッションを開催しました。中満泉国連事務次長兼軍縮上級代表、浅田正彦京都大教授、佐藤丙午拓殖大教授、長有紀枝立教大教授らが、5月にグテレス国連事務総長が発表した軍縮アジェンダについて話し合いました。

 アジェンダには、核兵器を含めた大量破壊兵器についての「人類を守るための軍縮」、通常兵器に関する「人命を救うための軍縮」、新たな兵器技術などについての「未来世代のための軍縮」という三つの優先課題があります。紛争や暴力が複雑化し、長期化するなかで、現状を打破する「魔法の杖(つえ)」は存在しない、とパネリストは口をそろえます。だからこそ、あらゆるレベルでできることをすべてやっていかなければと呼び掛けました。

 グーグル社で研究者のイニシアチブにより新技術を兵器化しないと宣言した事例や、欧州の議員団が国連に核兵器禁止条約の批准の是非について学びにくる例などを取り上げ、「できることはたくさんある」と中満事務次長は強調。教育や想像力を働かせることなどとともに、政策を変えていくために世論を盛り上げる重要性についても議論が及びました。(守田葉子)

(2018年8月24日セレクト掲載)

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