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「黒い雨」指定外 無料で心身ケア 専門医協設け支援

 広島原爆で降った「黒い雨」被害で、厚生労働省は、指定地域の外側で雨を浴びた住民らを対象に、今秋から健康不安軽減事業を始める。無料で心身の不安相談に応じ、健診費を助成する。29日閣議決定した2013年度予算案に事業費4479万円を計上した。

 相談は広島県や広島市の保健所で保健師が受ける。病気に応じて放射線や精神医療の専門医が「心身のケア」に無料で対応する。国は、市町が実施するがん検診や特定健診の自己負担分を助成する。

 厚労省健康局総務課は相談の対象を約3万人、うち健診・検診を受けるのは約3千人と見込む。事業は県、市に委託する。

 事業を後方支援するため、広島で放射線医療に携わる医師らで協議会を組織。住民らの不安を聞いて相談マニュアルを作成し、応対する保健師らに助言、指導する。

 対象地域を抱える広島市と周辺の2市5町は、特定の病気になれば被爆者健康手帳を交付され、医療費も無料になる指定地域の拡大を求めている。広島市の松井一実市長はこの日の記者会見で「一歩前進」と述べた。

 予算案で、被爆者対策費は1481億円で前年度当初に比べ3億円増えた。原爆症認定者の増加で医療特別手当は13億円増の217億円とする一方、被爆者の減少に伴い、健康管理手当は5億円減の664億円とした。両手当を含む6手当の支給月額を、過去の物価下落を反映し、今年10月に0・7%引き下げる。(岡田浩平)

(2013年1月30日朝刊掲載)

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