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原発災害指針改定案 「安全確保できぬ」 島根の防災担当者ら不満

 原子力規制委員会が原発事故の避難基準などを盛り込んだ原子力災害対策指針の改定案を示した30日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の防災計画を策定中の島根県や原発30キロ圏の防災担当者からは不満の声が相次いだ。「未定のことが多すぎて住民の安全が確保できない」との批判も上がった。

 「大枠だけの印象。まだ実行には課題が多い」。島根県原子力安全対策課の山崎功課長はこう受け止める。

 原発5キロ圏への安定ヨウ素剤の事前配布など新たな方針が盛り込まれる一方、避難の手段や避難所の運営方法は方向性すら固まっていない。「これで住民の命を守る計画を作れというのは無責任だ」。原子力災害対策重点区域の拡大を受け、初めて計画の策定を求められた雲南市の斉藤雅孝統括危機管理監は語気を強めた。

 策定期限は3月18日まで。規制委は参考として改定案を示したというが、1カ月半前の提示に「今から反映させるのは時間的に難しい」(山崎課長)との声も。規制委の思惑とはずれが生じており、自治体とのコミュニケーション不足も露呈した格好だ。

 出雲市の森山靖夫防災安全管理監は「計画ができて『一段落』ではない。住民への周知など課題は山積みで、国はもっと危機感を持つべきだ」と指摘した。(樋口浩二)

(2013年1月31日朝刊掲載)

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