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核の非人道性を討議 静岡で国連軍縮会議開幕

 国連軍縮会議が30日、静岡市のホテルで開幕した。3日間の日程で米国など16カ国、3国際機関の軍縮担当者や専門家約70人が参加。初日は「核兵器の人道上の問題」などをテーマに活発に討議した。核使用の非合法化について、天野万利・軍縮会議政府代表部大使は「核保有国の反発を招き、非生産的な議論に陥りかねない」と難色を示した。

 30カ国以上が昨年10月、核使用を非合法にする努力を各国に求める共同声明を発表。ノルウェー・オスロでは3月、核兵器の非人道性に焦点を当てた国際会議が開かれる。核の非人道性と非合法化を訴える取り組みを評価する声が相次いだ。

 一方、日本は米国の核抑止力に依存する安全保障政策と整合性が取れないとして声明への署名を拒んだ。天野氏は「非合法化を急ぐ手法には納得していない。着実で段階的な交渉を進めることが核兵器廃絶への近道だ」と主張。参加者から「被爆国が加わらないと動きが弱まる」との批判が上がった。

 北朝鮮が3回目の核実験実施を明言し、国際社会が緊迫する中、北東アジアの非核化も焦点になった。

 長崎大核兵器廃絶研究センター長の梅林宏道氏は「北朝鮮が核開発を急ぐのは自国の安全保障に対する不安の表れ」と指摘。日本、韓国、北朝鮮で非核兵器地帯をつくり、周辺の核保有国にも一帯を核攻撃しないと誓約させる案を紹介した。

 軍縮会議では1日までの期間中、2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた課題や、福島第1原発事故を受けた原子力施設の安全性などを話し合う。

 軍縮会議は国連軍縮部と国連アジア太平洋平和軍縮センターの主催。1989年から国内で開かれ、24回目。(田中美千子)

(2013年1月31日朝刊掲載)

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