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被爆者対策費1281億円 厚労省概算要求 「樹木」回復に補助

 厚生労働省は29日発表した2019年度予算の概算要求に、被爆者対策費1281億円を計上した。被爆者の高齢化に伴う減少を受け、18年度当初予算比で8億円減った。原爆被害の実態を伝える取り組みでは、被爆建物保存への補助制度で工事費の上限額を引き上げ、新たに被爆樹木の樹勢回復への補助も始める方針でいる。

 被爆者対策費は、一定の病気にかかれば支給する健康管理手当(月額約3万4千円)が18年度当初比4億円減の545億円▽医療費などが同11億円減の306億円▽原爆症に認定された被爆者への医療特別手当(同14万円)が18年度当初並みの249億円―など。

 被爆建物保存の補助は現在、工事費3千万円を上限に3分の2を支給する内容。18年度は2件分4千万円を予算化した。19年度は工事費の上限を8千万円に引き上げる方針で、2件分1億1千万円を盛り込んだ。

 被爆樹木の樹勢回復は広島市と長崎市の取り組みに補助する。初年度の19年度は広島3、長崎1の計4本分を見込み120万円を要求した。

 両市がそれぞれ養成する「被爆体験伝承者」たちの小中学校などへの派遣支援も拡充する。同省は18年度から市外への派遣費と謝礼を国負担とし、初年度3千万円を予算化したが、想定を大幅に上回る依頼があり、1日時点で331件。このため19年度は2千万円増の5千万円を求めた。(田中美千子)

(2018年8月30日朝刊掲載)

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