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平和首長会議の研修低調 自治体職員向け 2年連続枠埋まらず 実務的内容求める声も

 平和首長会議(会長・松井一実広島市長)が国内の加盟自治体の職員向けに開く平和研修への参加が、2年連続で低調だった。平和に関わる施策立案の後押しを狙うが、本年度は10都市の募集枠に対し、参加は4都市にとどまった。加盟数は増えているだけに、実務に生かせる研修を充実するなど、プログラムの工夫を求める声が出ている。(水川恭輔)

 研修は2016年度に始めた。3~5日の日程で広島市内で開き、旅費は首長会議が負担する。国際政治や安全保障を巡る広島市立大広島平和研究所の集中講義を聴講。被爆者の体験や、核兵器廃絶を目指す首長会議の概要なども聞き、自らの自治体での活動計画をリポートにまとめる。

 初年度は10都市の募集枠が全て埋まったものの、17年度は12都市を募り、参加は2都市。本年度は枠を10都市に戻して8月下旬に開き、参加は札幌市、山形市、長野県松本市、岐阜県高山市の4市だけだった。

 首長会議の国内加盟数は8月1日現在、全市区町村の99・3%の1729都市に上る。被爆体験講話の講師を務めた元原爆資料館長の原田浩さん(79)は「加盟数を増やすだけでなく、活動を広げる必要がある。実務者向けには、広島市の平和行政のこれまでの取り組みと課題をより詳しく伝える研修内容の方が参加を促せるのでは」と話す。

 2年続けて職員を派遣した松本市は、昨年度の研修リポートを基に、平和に関する若者向けの講演会の開催などを検討している。同市平和推進課は「広島市はもちろん、ほかの加盟都市の平和施策と課題も詳しく知りたい」と提案する。

 首長会議事務局の広島平和文化センターには、研修日程が短いと参加しやすいとの声も寄せられている。同センターは「加盟都市のニーズや実情を踏まえてプログラムを工夫したい」としている。

(2018年9月3日朝刊掲載)

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