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大学生が平和研究発表 静岡 国連軍縮会議が閉幕

 静岡市で開かれていた国連軍縮会議は1日、国内外の大学生が平和や軍縮をテーマに研究発表し、会議出席者と意見交換して3日間の日程を終えた。

 「世界学生平和会議」と題した特別議題で、静岡県内の大学生やマレーシア、ミャンマーからの留学生たち計8人が発表。「国や民族の多様性を受け入れる努力を重ねることが世界平和構築の第一歩だ」などと訴えた。各国の軍縮担当者や研究者から、若い世代に期待を寄せる声が相次いだ。

 閉会式で、会議を主催した国連アジア太平洋平和軍縮センターのシャロン・リグル所長は「活発な討議が続き、軍縮の推進に向けた新たな視点が提起された」と成果を強調した。

 会議は今回で24回目。3月にノルウェー・オスロで開かれる「核兵器の人道的側面に関する国際会議」を見据えた議論などが交わされた。(田中美千子)

国連軍縮会議 核廃絶議論 水差す政府

 静岡市での国連軍縮会議では、核兵器の非人道性を前面に掲げて使用の非合法化を目指す核軍縮の手法が議論の焦点になった。この手法に各国の支持が集まる一方、日本政府は「現実的でない」と反論。被爆国が、核兵器廃絶に向けた新たなうねりに水を差す場面が繰り返された。

 会議で口火を切ったのは、ノルウェー政府の代表者。オスロで3月、核兵器の非人道性をテーマにした国際会議を開く。「核保有国に放棄を迫るには革新的な手法が必要だ」とアピールした。

 核兵器の非人道性に焦点を当て、核軍縮、核兵器廃絶への突破口にしようとする動きは、国際社会に浸透しつつある。ノルウェーをはじめ、スイス、デンマークなど35カ国は昨年10月、国連総会第1委員会(軍縮)に共同声明を提出した。

 日本政府はこの声明への署名を拒んだ。理由は「わが国の安全保障政策と必ずしも合致しない」。依存する米国の核抑止力に影響を与える可能性があると判断したためだ。

 「一足飛びに非合法化を打ち出せば、核保有国は反発する」。会議で天野万利・軍縮会議政府代表部大使が政府の意向を代弁した。

 こうした被爆国の姿勢に非政府組織(NGO)は手厳しい。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のティルマン・ラフ共同代表は「米国の核政策から抜け出ない限り、日本は核軍縮をリードできない」と断じる。

 日本軍縮学会会長で大阪女学院大大学院の黒沢満教授は「被爆者が訴えてきた非人道性を30カ国以上の政府が唱え始めた意義は大きい」と強調。「各国は即時、非合法化せよと求めているわけではない。日本政府が参加を拒むことはない」と指摘する。(田中美千子)

(2013年2月2日朝刊掲載)

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