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島根原発 過酷事故を防止 中電、専任組織を設立

 中国電力は1日、島根原子力発電所(島根県松江市鹿島町)で、大地震や津波などを想定した過酷事故対策を進める専任組織を設立した。事故の際に放射性物質の放出を抑えるフィルターや、災害時の対策拠点の設計などに当たる。

 同原発の保修部に「SA(シビアアクシデント)工事プロジェクト」を設置。原子力や工事技術の専門家たち13人を配置した。本社の電源事業本部の原子力土木担当も1人増の11人とした。

 放射性物質の放出を抑えるフィルターのほか、災害時の対策拠点となる「免震重要棟」の設計や仕様などを詰める。大地震や津波、航空機墜落、テロなどに対応し、想定外の事態が起きても被害を最小限に抑える策を検討する。

 過酷事故への対応は、これまでは電力会社の自主的な取り組みに委ねられてきた。福島での事故を受け、原子力規制委員会は電力会社に対策を義務付けることを決定。国は7月、過酷事故への対応を盛り込んだ新たな安全基準を施行する。

 中電は東日本大震災以降、島根原発の安全対策に少なくとも500億円を投じる計画。規制委はさらに、原子炉の第2制御室などを備えた「特定安全施設」などの新設を各電力会社に求める方針で、さらに数百億円の設備負担がかかる可能性がある。(東海右佐衛門直柄)

(2013年2月2日朝刊掲載)

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