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彫刻に込める平和の祈り 円鍔勝三展 御調で開幕

 尾道市御調町出身の彫刻家円鍔勝三さん(1905~2003年)が平和への願いを込めた作品約70点を紹介する「円鍔勝三 祈りの彫刻」展が4日、同町の円鍔勝三彫刻美術館で始まった。同館と中国新聞備後本社の主催。12月2日まで。

 高さ2メートルを超す「動員学徒の記念碑の観音像」(67年)は、仏像に女神の翼を付け、宗派を超えた融和を象徴。「ガラスのうさぎ」(81年)は東京大空襲に遭った少女がたくましく立ち上がる姿を表現した。

 平和をかみしめる家族のだんらんを形にした作品や、王女と侍女をテーマにした初展示の石こう像もある。

 戦時中、川崎市内にいた円鍔さんは、広島への原爆投下を知り、大きな衝撃を受けた。戦後も「唯一こだわるテーマが戦争」と話していたという。

 友人と訪れた同町の吉和郁恵さん(62)は「彫刻の表情から、作者の優しさがにじみ出ている」と見入っていた。月曜休館(祝日の場合は翌日)。大人400円、高校生300円、中学生以下と70歳以上無料。(久保木要)

(2018年9月5日朝刊掲載)

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