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連載・特集

地方紙記者ヒロシマ発信 研修参加の10人 視点に工夫

在日被爆者■体験継承■建物保存■似島

 全国の地方紙、ブロック紙などの記者が集う広島市主催の国内ジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」はこの夏、17年目の日程を終えた。ことしは関東から九州までの10紙から24~35歳の記者が参加。プログラムの成果を生かし、それぞれの視点で記事やコラムなどを発信した。(岩崎誠)

 研修日程は平和記念式典をはさんで7月28日から11日間。被爆体験の講話を聞き、被爆者対策や被爆体験伝承者養成事業などの説明を受け、市が進める「ピースツーリズム」のコースも体験した。

 10記者が書いた記事は合わせて60本余り。神奈川新聞の記者は「広島被爆73年」と題する5回の大型連載を執筆した。戦時下で路面電車を動かし、復興の力になった女学生の思いや原爆の絵を描く高校生の姿など、ヒロシマの「今」を伝えた。愛媛新聞も3回の連載「平和を明日へ」で、平和カフェ「ハチドリ舎」などの継承への模索をルポした。

 社として初めて研修に参加した南日本新聞(鹿児島市)は地元出身の広島県被団協(坪井直理事長)事務局長、前田耕一郎さんの横顔を紹介した。

 増える外国人訪問者、似島に眠る遺骨、被爆電車など、複数の社が取り上げた題材も多かった。その中で中日新聞(名古屋市)が北朝鮮の非核化交渉に期待する在日朝鮮人被爆者の半生を追った記事や、西日本新聞(福岡市)が光を当てた、ろうあ被爆者の証言継承の試みも目を引いた。

 地域の課題に引きつけたコラムもあった。神戸新聞の記者はヒロシマの被爆建物の現状と神戸の街に残る空襲の爪痕を比べ、保存の在り方を問い掛けた。

 「胸打たれる取材が多く貴重な経験」「記者人生で財産となった」。アドバイザー役として各記者と意見交換した中国新聞の記者に後日、寄せられたメッセージからは学んだものの大きさがうかがえる。

【講座参加者と主な記事】=順番は東から

下野新聞 大貫茉伊子記者
 シリーズ「とちぎ平和を考える ヒロシマから」
 特集「被爆の記憶 次代へつなぐ」

神奈川新聞 岩﨑千晶記者
 連載「平和つなぐ 広島被爆73年」
 「生きた証し 次代へ 平和祈念館 遺影集め公開」

新潟日報 渡辺勇哉記者
 「にいがたマンガ大賞入賞・広島の大河原さん 被爆体験伝承者目指す」

静岡新聞 岩下勝哉記者
 「本社記者・広島報告」(似島ルポなど)

中日新聞 塚田真裕記者
 「今、被爆者遺骨を掘る」(似島)
 「帰りたい 核なき統一祖国」

神戸新聞 那谷享平記者
 「原爆忌 つないだ被災地」(阪神大震災、東日本大震災)
 コラム「戦禍伝える遺構 保存に課題」

愛媛新聞 桑原大輔記者
 「広島のライブハウス 被爆者が証言」
 連載「平和を明日へ 広島原爆73年」

西日本新聞 吉田真紀記者
 「ろうあ被爆者の体験継承」
 「原爆ドーム無言の訴え 記者 時止まった内部へ」

熊本日日新聞 臼杵大介記者
 「被爆の地獄語らねば 広島市の梶本さん」
 「『被爆電車』惨禍伝える」

南日本新聞 中咲貴稔記者
 「『かお』 前田耕一郎さん」
 「『平和』考え学ぶ旅を 広島市、10月スタート」

                 ◇

講座参加者の記事の一部は、以下から読むことができます

【新潟日報】

発足30年 広島新潟県人会が交流会(8月6日朝刊)
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20180806410850.html

にいがた漫画大賞入賞・広島の大河原さん 被爆体験伝承者目指す(8月15日朝刊)
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20180815412528.html

【静岡新聞】

父被爆体験伝承 磐田の2世模索(8月6日朝刊)

本県小中生も広島入り「原爆の威力感じた」(8月6日朝刊)

「悲劇繰り返さない」県内被爆者 大和さん(浜松)ら誓う(8月6日夕刊)

NEWS交差点 本社記者・広島報告 地中に眠る遺骨 惨禍を今に(8月15日朝刊)

【神奈川新聞】

広島原爆から73年 都道府県遺族代表 相模原在住 丸山さん(8月7日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/351605

生きた証し 次代へ 平和祈念館 遺影集め公開(8月22日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/355248

連載「平和つなぐ 広島被爆73年」①女学生が走らせた路面電車(8月20日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/354781

連載「平和つなぐ 広島被爆73年」②街に息づく継承の志(8月21日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/355020

連載「平和つなぐ 広島被爆73年」③世代超える非核への思い(8月22日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/355336

連載「平和つなぐ 広島被爆73年」④体験を継ぐ者たち(8月23日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/355577

連載「平和つなぐ 広島被爆73年」⑤平岡敬元広島市長に聞く(8月24日朝刊)
http://www.kanaloco.jp/article/355861



【神戸新聞】

原爆の恐ろしさ、広島で学ぶ たつのの児童ら(8月4日朝刊)
https://www.kobe-np.co.jp/news/seiban/201808/0011508638.shtml

原爆なくすのが当然 神戸の被爆男性、広島で怒り(8月6日夕刊)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201808/0011516985.shtml

原爆忌 つないだ被災地 「阪神・淡路」が原点 フクシマの思い胸に(8月6日朝刊)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201808/0011516149.shtml

元広島市長平岡敬さん 被災の記憶伝承 たゆまぬ努力を(8月7日朝刊)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201808/0011519339.shtml

ヒロシマ心寄せる欧米人 原爆ドームなど見学者増(8月7日夕刊)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201808/0011520329.shtml

【愛媛新聞】

「真っ赤な空 見るの怖かった」 広島のライブハウス 被爆者が証言(8月6日朝刊)

ヒロシマで思う平和 愛媛大生2人 誓い新た(8月7日朝刊)

核の苦悩なくしたい 平和記念式典 遺族愛媛代表 梶野平太さん(8月7日朝刊)

ヒロシマ 写真で伝える 松前出身 大西さん 県美術館で原爆展(8月12日朝刊)

連載「平和を明日へ 広島原爆73年」㊤被爆体験の伝承(8月25日朝刊)

連載「平和を明日へ 広島原爆73年」㊥第三世代の企画展(8月27日朝刊)

連載「平和を明日へ 広島原爆73年」㊦語り合う場(8月28日朝刊)

【西日本新聞】

ろうあ被爆者の体験伝承 手話通訳者、表情交え再現(8月1日朝刊) https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/437604/

「すずめおじさん」の恩返し 広島原爆孤児の83歳(8月3日朝刊) https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/438197/

被爆樹守り平和継ぐ 広島の樹木医・堀口さん(8月4日朝刊) https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/438527/

14歳 被爆電車と駆けた 旧広島電鉄女学校の車掌・笹口さん(8月5日朝刊) https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/438706/

原爆ドーム無言の訴え 記者 時止まった内部へ VR立体映像 ユーチューブに(8月7日朝刊)
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/439018/

反核の輪広げる 広島原爆73年 一家8人被爆 別府市の吉本さん(8月7日朝刊)
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/439219/

【熊本日日新聞】

被爆証言聞く会『守る』 広島市のHIPPYさん(8月3日朝刊)

被爆の地獄 語らねば 広島市の梶本さん(8月4日朝刊)

被爆…外国人も知って 広島市、原爆遺構巡るルート策定へ(8月5日朝刊)

母の苦しみ 核の罪 県遺族代表の杉本さん(8月7日朝刊)

『被爆電車』惨禍伝える 広島電鉄650形」(8月8日朝刊)

【南日本新聞】

核なき世界の実現を 広島市で専門家らがシンポジウム(8月3日朝刊)

被爆体験、次世代へ 広島市のHIPPYさん講演 バーで証言の会(8月6日朝刊)

「かお」原爆被害を伝える広島県被団協事務局長、前田耕一郎さん(8月6日朝刊)

「未来の子ども守って」 薩摩川内市の春田さん親子、慰霊碑に祈り(8月7日朝刊)

「編集局日誌」ヒロシマを歩いて(8月10日朝刊)

「平和」考え学ぶ旅を 広島市、10月スタート(8月12日朝刊)

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