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原発5キロ圏 放射線防護 病院と福祉施設 屋内退避を想定 島根県方針

 島根県は2013年度、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の5キロ圏にある社会福祉施設と病院について、放射性物質の防護対策に乗り出す方針を固めた。入所者や入院患者たち要援護者は事故後、すぐ逃げられない場合もあると判断。建物の安全性を高め屋内退避時の被曝(ひばく)リスクを抑える。(樋口浩二)

 福島第1原発事故を受け、原子力規制委員会は原発事故に備える範囲を従来の10キロ圏から30キロ圏に拡大。中でも5キロ圏は直ちに避難する必要がある「予防防護措置区域」(PAZ)とした。

 ただ、施設の入所者や病院の入院患者は自力での避難が困難。バスなど搬送手段の調達が難航して避難に時間がかかる可能性も高く、規制委は事故状況次第では「屋内退避も重要」としている。

 改修の候補となる施設は、特別養護老人ホームや病院など4カ所で、いずれも法人が運営する。今後、県は希望を聞いた上で改修するかどうかを決める。放射性物質を取り除く空気浄化フィルターの設置や換気設備の交換を想定するが、具体的な手法は規制委の方針待ちという。

 財源は全額、規制委の補助金を充てる。1施設当たりの改修費は約2億円を見込む。

 規制委は全国に14ある原発立地道県から、避難に時間を要するとみて島根県など半島部に位置する原発がある10県前後を補助対象とする。

 県は、要援護者の避難先について中国地方に加え、九州、関西地方も含め検討しているが、具体的な施設は決まっていない。

(2013年2月7日朝刊掲載)

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