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被爆 腎臓病リスク 放影研調査で関連性判明

 被爆者のうち、浴びた放射線量が多い人ほど慢性腎臓病を患うリスクが高まることが、放射線影響研究所(放影研、広島市南区・長崎市)の研究で分かった。慢性腎臓病は放っておくと腎不全となるほか、心筋梗塞や脳卒中になりやすくなる。放影研によると、慢性腎臓病と被爆線量との関連性が分かったのは初めてという。

 長崎研究所の世羅至子(のぶこ)研究員たちが、2004~07年に放影研の健康診断を受けた長崎の被爆者1040人のデータを調査。このうち被爆線量が推計できる746人を対象に、腎機能障害の有無と被爆線量の関係を解析した。

 その結果、被爆線量が多い人ほど慢性腎臓病にかかる傾向があった。計算上では、被爆線量が1シーベルト増えるごとに、発症するリスクは1・29倍に、重度になるリスクは3・19倍に高まる。746人のうち慢性腎臓病の患者は162人で、このうち重度の患者は13人だった。世羅研究員は「データを増やし、統計的な精度を上げたい」としており、近く広島の被爆者のデータを加えた大規模な解析に取り組む予定という。(田中美千子)

(2013年2月7日朝刊掲載)

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