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南北首脳会談 対話継続 評価の声 被爆者団体 具体的行動訴え

 南北首脳会談で19日、北朝鮮が条件付きで核施設を廃棄するなどの内容を盛り込んだ共同宣言が出されたのを受け、広島県内の被爆者団体などからは、対話の継続に評価の声が上がった。一方で、非核化の真意が見えにくいとして、北朝鮮や米国により具体的な行動を求める意見が相次いだ。(明知隼二、水川恭輔)

 広島県朝鮮人被爆者協議会の金鎮湖(キム・ジノ)理事長(72)は、南北首脳が対話を重ねていることには「半島の非核化には信頼関係が不可欠」と歓迎。北朝鮮側が北西部寧辺の核施設の廃棄などに踏み込んだ点を受け、「一方的に手放すことはあり得ない。米国側も、いつまでに何をするのか明確にする必要がある」と指摘した。

 共同宣言では現在保有している核兵器の扱いや、非核化を実現する期限などには言及がなかった。在日本大韓民国民団(民団)県地方本部韓国原爆被害者対策特別委員会の朴南珠(パク・ナムジュ)委員長(86)は、北朝鮮の核兵器について「会談の中でしっかり追及してほしかった。核兵器は人類を滅ぼす。北朝鮮は非核化への意思を言葉ではなく行動で示してほしい」と求めた。

 県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(76)は「非核化に向けた米朝の交渉を前に進めるため、韓国には引き続き仲介の役割を果たしてほしい」と期待。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(73)は、「米国との駆け引きもあるだろうが、共同宣言の内容は今後の足がかりになる。南北や米朝での対話を絶やさず、少しずつでも成果を積み重ねてほしい」とした。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(61)は核施設廃棄への言及を「北朝鮮が米国との対話を継続して求めている証しだ」とみる。「非核化の進展には核廃棄の検証措置の実現などと併せ、朝鮮戦争の終結を同時に軟着陸させる交渉が望まれる。日本政府もそうした議論を促す役割を果たすべきだ」としている。

(2018年9月20日朝刊掲載)

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