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遺品が語るあの日 原爆資料館企画展開幕 広島

 原爆で命を奪われた人や遺族の悲しみを遺品などを通して伝える企画展「君を想(おも)う―あのときピカがなかったら」が8日、広島市中区の原爆資料館東館で始まった。資料館学芸課は「家族を引き裂いた原爆の悲惨さを感じ取ってほしい」と呼び掛けている。

 遺品は資料館が遺族から寄贈を受けたり、市が南区似島の発掘調査で見つけたりした約90点。一部に被爆状況の説明や遺影を添えている。

 被爆当時28歳だった宮谷正徳さんの遺品は、爆心地から700メートルの広島城(中区)で被爆した際に身に着けていたゲートル。「背部火傷」と負傷状況を記された紙片もある。運び込まれた収容所で宮谷さんの体に張り付けられていたという。

 宮谷さんは被爆直後の8月13日に亡くなった。長女順子さん(69)=尾道市=は「父は『順子を頼む』と言って亡くなったと聞いた。原爆がなければ父や残された母の人生は違っていた」と話す。

 企画展は7月15日まで。無料。(田中美千子)

(2013年2月9日朝刊掲載)

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