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広島大病院に美術館 原爆テーマの大作も 原田元学長建設・寄贈 来月オープン

 広島大霞キャンパス(広島市南区)に10月17日、美術館がオープンする。ポーランド絵画が中心で、原爆をテーマにした大作もある。収集家から約1300点を譲り受けた元学長の原田康夫さん(87)が美術館を建設し、広島大病院に作品ごと寄贈する。病院付属の美術館は全国でも珍しい。(馬場洋太)

 外来棟そばに姿を現した鉄骨2階建ての美術館は、直径13メートルの白い円形の外観。らせん状の回廊で有名な米ニューヨークのグッゲンハイム美術館を模した。

 メイン展示の「ノーモア・ヒロシマ」「ノーモア・アウシュビッツ」は、二つで縦2メートル、横4メートル以上ある陶板画の大作。ポーランドのレシェック・ノボシェルスキ(1999年没)の作で、自らの強制収容所での体験を基に、戦火や飢餓の苦しみを表現している。

 両作品は、氏と交流のあった物理学者で、絵画収集家でもある宮内邦雄さん(87)=東京=の依頼により被爆50年の95年に制作された。宮内さんが私設ギャラリーで展示していたが、高齢になり後継者もいないため、知人を介して知り合った原田さんに委ねた。

 入市被爆者でもある原田さんは「残酷さの中にも魂の祈りを感じさせる。広島の宝になる」と高く評価。「譲り受けるからには飾りたい。海外の人にも訪ねてもらい、戦争や平和への想像を膨らませる場にしたい」と、私財を投じての美術館建設に踏み切った。

 美術館には、患者以外も入場可。館内を歩くことで体に適度な負荷を与え、患者のリハビリになるように、2階の回廊には緩い傾斜を付けた。館の名称は、やすらぎ(Y)平和(H)リハビリ(R)ポーランド(P)にちなみ「YHRPミュージアム」とした。

 収蔵する1300点の中から約80点を館内に並べ、定期的に展示替えをする。月-金曜の午前9時~午後4時に開館。入場無料。

(2018年9月25日朝刊掲載)

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