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製造継続 医師ら要請 白血病治療薬「ロイコプロール」 「被曝医療にダメージ」

 白血病治療で使われるホルモン剤「ロイコプロール」の製造・販売中止をめぐり、広島赤十字・原爆病院(広島市中区)と五日市記念病院(佐伯区)の医師計4人が2日、日本血液学会に対し、中止を了承しないよう求める要請文を送った。「治癒率低下を招き、被曝(ひばく)医療に大きなダメージを与える」とし、製造継続を訴えている。

 厚生労働省によると、日本血液学会などは既に供給停止の了承を同省に回答。これを受け、製薬会社は8月末で卸業者への販売をやめている。最終決定には再度の学会の了承が必要で、了承なら保険適用から外れる薬として11月にも官報で告示され、来年3月末で保険適用外になる。

 要請文で4人の医師は、同剤を使う独自の治療法だと、標準的な治療より患者の生存率が高い、と指摘。効能の同じ代替薬は「ない」とした。さらに製薬会社が販売中止の手続きに必要な現場の医師の了承を取っていないとし、学会に対して同剤の保険適用除外を了承しないよう求めた。

 非被爆者に比べて被爆者の白血病発症リスクが高いとの従来の知見も踏まえ、「被爆者が最良の治療を受けられる環境を整えるべきだ」とも主張。「原料となる大量の尿を中国で確保できなくなった」とする製薬会社の説明に対しては、国内で確保するすべもあり得るとした。(馬場洋太)

(2018年10月3日朝刊掲載)

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