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祖父のバイオリン再会の調べ 保存の広島女学院大を孫が訪問

孫が女学院大訪問 「平和の願い広げて」

 広島女学校(現広島女学院中・高)で音楽教諭を務めたロシア人の故セルゲイ・パルチコフさん(1893~1969年)の孫2人が7日、広島市東区の広島女学院大を訪れた。祖父が愛用していたバイオリンと再会し、懐かしい音色に聞き入った。

 孫でともに米西海岸在住のジャンさん(61)とキムさん(60)の姉妹が訪れた。キャンパス内のチャペルでは、同大の助手がセルゲイさんの残したバイオリンを使い、ギター奏者と共演。ベートーベンの「月光」など全10曲を奏でた。

 ジャンさんは「祖父の姿が思い浮かんだ。音色を再び聞くことができて、本当に感動した」と涙を拭った。

 セルゲイさんはロシア革命を逃れ日本に亡命した。1926~43年に広島女学校で教えた。現在の広島市東区で被爆。戦後、米国に渡った。

 バイオリンは当時からセルゲイさんが愛用していたとみられ、生前に演奏する姿を孫2人も覚えているという。86年に家族が同大に寄贈。ジャンさんの申し入れで再会が実現した。キムさんは「このバイオリンの演奏を続け、平和の願いを広げてほしい」と願った。(石井雄一)

(2013年2月8日朝刊掲載)

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