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手話で被災ろう者の苦難 清心高・広島南特別支援校 7日全国大会で合同発表

原爆や豪雨惨禍 寸劇に

 手話を交えた劇や合唱で競う「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」が7日、米子市であり、広島市内2校の合同チームが出場する。ノートルダム清心高(西区)と、耳の不自由な生徒が通う広島南特別支援学校(中区)。15人で作り上げた寸劇では原爆被害や西日本豪雨に触れ、被災ろう者への心配りの大切さを訴える。(奥田美奈子)

 米子コンベンションセンターである全国大会に、清心高の手話同好会2年生11人と、かねて交流のあった支援学校高等部の2年生4人が共に舞台を踏む。全国62チームによる動画予選を経て県内では唯一、最終20チームに残った。

 8分間の劇は、ろう学校を出た17歳の少女が被爆し、生き延びようとするシーンから始まる。医療や生活支援について正確な情報を得られずに苦難を強いられた、ろう者の歴史を紹介する。

 舞台は転じて豪雨災害のあった現代へ。支援学校の岩崎太志郎さん(16)は「被災したら、どう情報を得たらよいか」と問い掛ける。聞こえる生徒は「難しいなあ」と困り顔。岩崎さんは「手話でなくても、身ぶりで伝えようとしてくれるとうれしいよ」と伝え、同世代で理解を深めていく様子を描いた。

 清心高の藤本里佳子さん(16)は「もし身近にろう者がいたらと、具体的に考えるきっかけになった」と受け止める。支援学校の石井千加さん(17)は「清心のみんなが懸命に手話を覚え、気持ちを伝えようとしてくれてうれしかった。一緒に優勝したい」と意気込む。

 ろう者の被爆体験の聞き取りに長年携わった手話通訳者で、台本制作に協力した仲川文江さん(78)=南区=は「こんなコラボが生まれ、すごくうれしい」と稽古を見守る。「聞こえる子も聞こえない子も互いの世界を知り、広い視野を養ってもらいたい」と期待を寄せた。

(2018年10月5日朝刊掲載)

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