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「NPT」へ連帯訴え 焼津と広島でビキニデー集会

■記者 岡田浩平、山本洋子

 太平洋マーシャル諸島のビキニ環礁であった米国の水爆実験で、マグロ漁船第五福竜丸が被曝(ひばく)した事件から55年となる1日、母港の静岡県焼津市で「ビキニデー集会」が開かれた。参加者は来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、核兵器廃絶への具体的な運動を世界に広げる決意を新たにした。

 日本原水協などでつくる2つの実行委員会が催し、国内外の約1600人が参加。静岡県原水爆被害者の会の川本司郎会長は、被曝して亡くなった無線長久保山愛吉さんの「原水爆の被害者はわたしを最後に」との遺言をひきつつ、国内外での署名活動の強化を呼び掛けた。

 マーシャル諸島、米国などから参加した反核運動家は、核軍縮に前向きなオバマ米大統領の誕生を追い風ととらえ、NPT再検討会議を重要視。広島、長崎両原爆の被害者との一層の連携を訴えた。

 いま、23人の乗組員は昨年2人が亡くなり、残るのは9人。大石又七さん(75)は記憶の薄らぎを憂い「若い人がいろいろな角度から学び、正しい世の中を築いてほしい」と語った。この日は、久保山さんが眠る焼津市内の弘徳院で墓前祭も営まれた。

 広島市内では、広島県原水協などが原爆資料館東館(中区)で集会を開き、約150人が草の根活動の強化を誓った。中国新聞社の田城明・特別編集委員が記念講演。米国の元高官が核抑止論に疑問を唱えている現状を紹介し「核廃絶の最大のチャンス。米ロの大幅な核削減やオバマ政権が、再検討会議までに包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准できるかが鍵を握る」と述べた。

(2009年3月2日朝刊掲載)


静岡で原水禁国民会議も

■記者 岡田浩平

 静岡県のマグロ漁船第五福竜丸が太平洋マーシャル諸島での米国の水爆実験で被曝(ひばく)してから55年となる「ビキニデー」(1日)に合わせ、原水禁国民会議は2日夜、静岡市内で全国集会を開いた。「ヒバクシャを生むすべての核開発を止めよう」と誓い合った。

 約320人が参加した。原水禁の川野浩一副議長は、欧米の現、元政府高官に広がる核兵器廃絶を求める意見を背景に「本気で取り組めば廃絶は可能」とあいさつ。「集会アピール」では米国による核軍縮の推進を期待する一方、イランの核開発疑惑や日本の原子力政策への懸念を示した。

 中部電力の浜岡原発(御前崎市)増設計画にからみ、石橋克彦・神戸大名誉教授が「原発震災」をテーマに講演。東海地震での想定以上の揺れが、原発事故を招き甚大な被害が出る可能性を指摘した。

 3日は被曝して約半年後に亡くなった乗組員久保山愛吉さんの墓前祭を焼津市で開く。

(2009年3月3日朝刊掲載)

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