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初経年齢に被爆の女性 乳がん 高い発症率 放影研調査

 放射線影響研究所(広島市南区)による広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査で、初経と同時期に被爆した女性ほど乳がんの発症率が高いことが分かった。思春期に乳房組織の放射線への感受性が増大しているため、と考えられるという。

 追跡対象の女性約6万2千人が1958~2009年に計1470件の乳がんを発症したデータに基づき検討。被爆時の年齢、初経年齢といった条件と、70歳で乳がんを発症するリスクとの関係性を調べた。その結果、初経年齢が12~18歳のいずれの場合も、初経年齢で被爆した人の発症率が最も高かった。

 15歳で初経を迎え、爆心地から約1・2キロでの被曝(ひばく)線量に相当する1シーベルトを浴びた場合、「30歳で被爆」だと発症率が非被爆者の2・0倍にとどまるが、「15歳で被爆」だと最高の2・4倍となった。

 多くのがんでは、被爆時年齢が0歳に近いほど発がんリスクが高い。乳がんではパターンが異なる理由について、同研究所の小笹晃太郎疫学部長は「乳房は初経の時期に細胞分裂が盛んなため、リスクの高い年齢が後ろにずれた」とみる。

 医療機関でのエックス線検診や、原発事故の被災地で浴びる放射線量は原爆に比べて極めて低いため、思春期の女性への影響について「今回の研究結果と結び付けて考える必要はない」としている。研究結果は、米医学誌「ラジエーション・リサーチ」今月号に掲載された。(馬場洋太)

(2018年10月16日朝刊掲載)

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