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フクシマ復興 道探る 広島大シンポ 中区で開幕 人材育成に期待

 福島第1原発事故をはじめとする放射線災害からの復興の道を探る国際シンポジウムが10日、広島市中区の広島国際会議場で始まった。広島大が、被爆地ヒロシマで蓄えてきた研究成果を受け継ぎ、復興をリードする専門家を育成する大学院の博士課程を設置後、初となる学外への発信の場。世界的な研究者からも期待の声が寄せられた。(門脇正樹)

 浅原利正学長は「世界初の被爆地の総合大学として、学術・医療面から国内外の支援に取り組んできた。放射線災害に実践的に対応できる人材を育てる」と誓った。

 シンポでは、国際原子力機関(IAEA)のレシー・チェム健康部長は昨年10月の加盟国会議で、放射線医学の教育奨励と、フクシマの被災者の精神面をケアする必要性を訴えたことを報告。「広島、長崎、福島の大学と連携を深めて、フクシマの復興に役立てたい」と期待を寄せた。

 ほかに国内外の研究者計6人も発表。国際放射線防護委員会(ICRP)のジャック・ロシャール氏は、フクシマの復興について「被災者の健康チェック、放射線の監視、放射線に関する正しい教育が3本柱だ」と強調した。

 同大は昨年10月、大学院の博士課程「フェニックスリーダー育成プログラム」を設けた。現在は20~40代の8人が医療、環境、復興をテーマに学んでいる。将来的には、国際機関などでの活躍が期待されている。シンポ最終日の11日はパネル討論などに参加する。

(2013年2月11日朝刊掲載)

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