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折り鶴 建築資材に再利用 広経大の徳永さん 卒論で提案

 広島経済大(広島市安佐南区)4年の徳永達也さん(26)が、市に寄せられた折り鶴の活用をテーマに卒業論文をまとめた。建築資材などとしての再利用を提案。折り鶴を中心にした平和活動を広げていく重要性を指摘している。

 A4判、25ページの卒論のタイトルは「広島における折り鶴の歴史とその有効活用に関する考察」。被爆10年後に白血病で亡くなり、原爆の子の像(中区)のモデルになった佐々木禎子さんが与えた影響や折り鶴の活用方法、その可能性を論述する。

 活用策は、折り鶴の灰をれんがや板に加工し、公共施設の建築資材に使うことなどを例示。保管・展示の一案として、寄贈者が届けた折り鶴のうちの1羽と、寄贈者の情報を記録したICチップを一緒にカプセル化するアイデアを挙げた。

 また、禎子さんの命日の10月25日を「折り鶴の日」にし、平和を考える機会を増やす工夫にも触れた。

 市は2011年、折り鶴を全て保存する方針を転換。活用策を公募した。徳永さんは所属する岡本貞雄教授(宗教学)のゼミの他の4人と企画書を提出。採用されなかったが、新たな考察を加えて卒論に仕上げた。

 徳永さんは「折り鶴は平和の資産。市は活用のコーディネーターにとどまらず、行政ならではのダイナミックな活用を」と注文する。(藤村潤平)

広島市に寄せられた折り鶴
 秋葉忠利前市長が、原爆の子の像(中区)に届く折り鶴の長期保存・展示を構想。2002年度から焼却せず、旧日本銀行広島支店(同)などで展示した。11年に就任した松井一実市長は活用に向けて方針転換。希望する個人・団体に無料配布している。市もモデル事業として折り鶴の再生紙を使った便箋やはがきなどを製品化している。

(2013年2月11日朝刊掲載)

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