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広島大病院の美術館開館 「より良い治療環境と平和考える施設に」

 全国でも珍しい病院付属の美術館が17日、広島大病院(広島市南区)にオープンした。患者や市民の憩いの場として、油絵や陶板画など約50点を展示する。初日は館内で式典があり、関係者約100人が祝った。

 平和のH、安らぎのYなどから命名した「YHRP美術館」。元学長の原田康夫さん(87)が、円形の回廊を備えた鉄骨2階建て延べ約300平方メートルの施設を病棟そばに建設し、病院に寄贈した。収蔵作品はポーランドの画家による風景画など約1300点。原爆やアウシュビッツをテーマにした陶板画の大作もある。

 式典では、館長に就いた原田さんたちがテープカット。木内良明病院長が「美術の力でより良い治療の環境をつくり、平和を考える施設としても活用したい」と謝辞を述べた。

 美術館建設は、絵画購入を通じてポーランドの画家を支援した工学者宮内邦雄さん(87)=東京=が、高齢のため収集品の譲渡を原田さんに相談したのがきっかけ。この日、式典に出席した宮内さんは「原爆の陶板画は作者自身も被爆地での展示を望んでいただけに、願いがかない、うれしい」と目を細めた。

 今回展示する作品以外は病院内で保管し、定期的に展示替えする。開館は月-金曜の午前9時~午後4時。入場無料。(馬場洋太)

(2018年10月18日朝刊掲載)

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