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被爆者救済へ早期判断を 原爆症認定訴訟 原告 最高裁に要請

 原爆症認定を求めた訴訟で、二審の高裁で敗訴した国が上告を申し立てている2件を巡り、原告計2人と日本被団協の役員たちが18日、救済に向けて判断を急ぐよう最高裁に要請した。

 原告は広島高裁で勝訴した内藤淑子さん(74)=広島市安佐南区=と、名古屋高裁で勝訴した1人。被団協役員らと共に最高裁を訪れ、「被爆者の高齢化が進んでいる。原爆症認定を確定させる判断を早急に下してほしい」などとする要請書を提出した。

 国は、いずれの原告も経過観察中だったことから、原爆症の認定要件の一つとなる要医療性(治療が必要な状態)が認められないと主張している。

 要請後、参加者が会見し、「国は要医療性の範囲を狭めようとしているが、高裁は経過観察が医療に含まれると明確に判断した」と反論。「高裁判決が確定すれば、被爆者が訴えてきた認定制度の見直しにつながる可能性もある」と述べた。

 内藤さんは爆心地から2・4キロで被爆し、47歳で白内障を発症。一、二審とも勝訴した。「被爆者に寄り添った判断を願う。認定を却下されたり諦めたりしている被爆者を救えるよう、国は制度改正に動いてほしい」と話した。(田中美千子)

与野党19議員に制度改正求める 日本被団協が集会

 日本被団協は18日、原爆症認定制度の改正を訴える集会を参院議員会館で開いた。全国各地の被爆者たち約80人が参加。出席要請に応じた与野党7党の国会議員19人に対し、各党党首に宛てた要請書を手渡した。

 要請書は、認定制度の抜本改正に向け、まず国の認定基準を緩和し、狭心症などの疾患を積極認定の対象に加えることなどを求めている。この問題を巡って有志に連携の動きがある野党各党には、野党の議員連盟を結成して政府に制度改正を働き掛けることも促している。

 被団協の木戸季市事務局長(78)は、原爆症の認定申請を国に却下された被爆者が訴訟を起こしている現状を踏まえ「高齢で重い病気の原告をこれ以上裁判で苦しませることは人道上許されない」と指摘した。参加者からは「被爆者にはもう時間がない」「政治の力で現状を変えてほしい」などの意見が出た。

(2018年10月19日朝刊掲載)

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