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強制連行・被爆 苦難の日々 西区 中国人労働者の孫語る

 戦時中、安野発電所(安芸太田町)の建設工事に強制連行された中国人労働者で、被爆者の故・徐立伝さんの孫、王小軍さん(51)=中国・青島市=の話を聞く会が20日、広島市西区民文化センターであった。徐さんの苦難や生前の様子を市民たち約50人が聞いた。

 徐さんは中国人収容所で事件に巻き込まれ、広島刑務所(現中区)で被爆した。帰国後の1992年、広島市の市民グループから聞き取り調査を受けた際に被爆を証言。既に歯肉がんを患い、日本で専門医の治療を希望したがかなわずに同年、70歳で死去した。

 初来日の王さんは、徐さんについて「収容所は食べ物や着る物がなく、つらかったと言っていた」と振り返った。戦後、中国の自宅に戻ると妻が亡くなっており、「自分の強制連行が心労になったせいだと悔やんでいた」とも語った。

 同発電所建設で中国人360人が強制連行された歴史を継承する市民団体が主催。21日午後1時半からは、発電所近くの「中国人受難之碑」前で集いを開く。王さんも参列する予定で「碑に向かうと思うと、悲しみで言葉にならない」と涙ぐんだ。(畑山尚史)

(2018年10月21日朝刊掲載)

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