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世界記憶遺産 登録で注目 通信使行列 厳かに 呉・下蒲刈

 朝鮮通信使の再現行列が21日、広島県呉市の下蒲刈島であり、島内外や韓国から計約270人が色鮮やかなチマ・チョゴリや礼服で厳かに行進した。

 爽やかな秋空の下、朝鮮の伝統音楽の演奏に乗って海沿いの松並木や石畳の続く県道約1・2キロを歩いた。終点の下蒲刈中で正使役の金宣杓(キム・ソンピョ)駐広島韓国総領事と、将軍役の蘭島文化振興財団の渡辺理一郎理事長が「国書」を交わして友好を誓い合った。両国の参加者が演奏や踊りを披露し交流を深めるステージもあった。

 蘭島文化振興財団、朝鮮通信使行列保存会、中国新聞社が主催。昨年10月、下蒲刈島の松濤(しょうとう)園が所蔵する絵巻物を含む関連資料が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されてから初の再現行列となった。保存会の菅原広三会長は「参加希望者が例年より多く、関心の高まりを感じた。今後もさらに盛り上げていきたい」と話していた。(今井裕希)

日韓の絆 観客を魅了 下蒲刈で朝鮮通信使再現行列 歌や踊り 被災地に活気

 呉市下蒲刈島の最大イベントである朝鮮通信使再現行列が21日、現地で盛大に行われ、約6千人が来島した。呉市は7月の西日本豪雨で大きな被害を受けた。関係者は例年通りの華やかな行列やステージを喜ぶ一方、日韓友好をてこにした観光客の早期回復を願う思いもにじんだ。(今井裕希)

 下蒲刈市民センター前の出発式で、新原芳明市長が「再現行列は復旧、復活していかないといけない市を元気づけることになる」とあいさつ。昨年はあいにくの雨で沿道の人はまばらだったが、秋晴れのことしは島内外から多くの観光客が訪れたことにほっとした表情をみせた。

 厳かな行列の周りには外国人観光客の姿もあり、カメラで歴史絵巻を撮影するファンの姿も。通信使の一行が上陸した福島雁木(がんぎ)前には多くの見物客が集まり、櫂伝馬(かいでんま)に乗って広島藩主が到着するシーンでは大きな歓声も上がった。

 正使役で初参加した金宣杓(キム・ソンピョ)駐広島韓国総領事は「通信使は約200年続き、両国の友好を深めた。再現行列は今後も受け継がれてほしい」と話していた。

 ステージでは5団体が踊りや歌を披露。黄色の衣装で再現行列にも参加した韓国・富川(プチョン)市の京畿(キョンギ)国際通商高生徒16人は太鼓や笛、かねで民謡などを演奏した。ことしで参加が3回目という隊長の姜有信(カン・ユシン)さん(19)は「風が強かったが沿道の声援で頑張れた。再現行列への参加で日本に親しみを感じるようになった」と振り返っていた。下蒲刈中2年生12人も和太鼓の演奏を披露した。

(2018年10月22日朝刊掲載)

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