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北朝鮮核実験 中国地方の識者に聞く 

米の脅威に/日中韓の新体制背景/融和の道を

 北朝鮮が3度目の核実験を強行したのはなぜなのか。北朝鮮と国際社会との対話を促すために被爆国日本が果たすべき役割は何なのか。朝鮮半島や核情勢に詳しい中国地方の専門家に聞いた。

 広島市立大(安佐南区)の金栄鎬(キムヨンホ)教授(51)=政治学=は「今回の核実験で、北朝鮮が米国にとって直接的な脅威になった」と指摘した。

 北朝鮮は国際社会の反発を無視し、米国本土が射程に入るとされる長距離弾道ミサイルの発射後に実施。核爆弾の小型・軽量化をアピールした。「過去2度とは国際社会に与えるインパクトが違う」

 金正恩(キムジョンウン)第1書記の新体制下では初の核実験。「日本や韓国、中国と相次いで新たなリーダーが誕生していることも背景にある」とみるのは、島根県立大の福原裕二准教授(42)=国際関係史。

 「今回、北朝鮮は近隣諸国の出方を見ている。北朝鮮の望みは自国の体制維持。その真意を見定めたアプローチが必要だ」とする。

 日本はどう対応すればいいのか。

 広島市立大広島平和研究所(安佐南区)の水本和実副所長(55)=核軍縮=は「核開発を進めたいイランなどに歯止めをかける意味で北朝鮮への厳しい対応は必要だが、国際社会と融和する道を残しておくことが大事」と語る。

 北朝鮮と国際社会をつなぐ役割は「被爆国だからこそ担える」とも。「日本政府にとり北朝鮮の被爆者支援は、北朝鮮との数少ない接点でもある。核の負の側面を伝えることにもつながる」と話した。(田中美千子)

(2013年2月13日朝刊掲載)

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