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伊方原発の無期限停止 仮処分申請を却下 広島地裁

 阿蘇山(熊本県)の破局的噴火の危険性を指摘し、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を期限付きで差し止めた昨年12月の広島高裁の仮処分決定を受け、広島、松山両市の住民が無期限の運転停止を求めた別の仮処分申請について、広島地裁の藤沢孝彦裁判長は26日、却下する決定をした。四国電は27日に運転を再開した。

 3号機を巡っては運転差し止めを求める訴訟が広島地裁で係争中。藤沢裁判長は、判決確定までの暫定的な救済を求めて仮処分が申し立てられたとし、判決確定までの噴火リスクを検討。四国電によるマグマだまりや地殻変動などの調査から「巨大噴火が発生する可能性は非常に低い」などとし、仮処分命令で直ちに除去しなければならないほどの急迫の危険には当たらないと結論付けた。

 原子力規制委員会が安全性を審査する内規として策定した火山ガイドの合理性は判断しなかった。

 期限付きで運転を差し止めた広島高裁決定は、四国電の異議が認められ、無効になっている。住民側は広島市中区で記者会見を開き、「これまでの多くの裁判例と異なり、火山ガイドの不合理性などの判断を回避した」などと訴えた。

 この日は山口地裁岩国支部で山口県の住民たちが同原発の運転差し止めを求めた訴訟の口頭弁論があり、原告側は阿蘇山の噴火の危険性を主張。閉廷後の集会で原告団の中村覚弁護士が広島地裁の決定に触れ、「訴訟の判決確定まで時間がかかるのに巨大噴火のリスクが低いとはいえないはずだ」と憤った。(小笠原芳、坂本顕)

(2018年10月27日朝刊掲載)

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