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毒ガス被害者治療で意見交換 イランで広島の医師ら

 竹原市の大久野島に存在した旧日本陸軍の毒ガス工場の元工員らを診療した広島の医師らが、イラン・イラク戦争で使用された化学兵器で大きな被害を受けたイランを訪問し、現地医師と治療法などの意見を交換する初の合同セミナーを3日、テヘランで開いた。

 セミナーは、イランの非政府組織(NGO)と、広島市の特定非営利活動法人(NPO法人)「モーストの会」が共催。日本からは広島大大学院の井内康輝教授(病理学)ら専門医4人を含む計8人が参加した。

 セミナーで、島根大医学部の森田栄伸教授(皮膚科)は、大久野島の患者は被害から長期間経過した後に皮膚がんが多発しており、「イランの患者にも将来、発がんの可能性がある」と指摘。2日に患者の診察に立ち会った医師は「直接的な症状だけでなく、精神的ストレスの治療も必要だ」と助言した。

 イラン側の医師は、約5万人の化学兵器被害者のうち「症状が軽い患者の生活改善に力を入れている」などと述べた。

(共同通信3月3日配信、3月4日朝刊掲載)

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