「INF条約引き継いで」 広島市長 核軍縮後退危惧
18年10月31日
米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄方針を表明したことについて、広島市の松井一実市長は30日の記者会見で「冷戦時代の米ソが核開発競争に歯止めをかける大きな決断をした条約で、引き継いでいくべきものだ」と述べ、核軍縮の後退を危惧した。
松井市長は、国連での核兵器禁止条約の採択などに触れ「被爆者が願う核兵器のない世界に向かう流れがある。核兵器による脅しで国を守る発想自体をなくす必要がある」と指摘。米国とロシアは核拡散防止条約(NPT)により核軍縮の義務を負うとして「この動きを先導するべきだ」と核超大国の姿勢を批判した。
さらに、「被爆者の思いを受け止めてもらえる環境づくりへの方策を協議したい」とし、11月に岐阜県高山市である平和首長会議の加盟都市会議総会で、条約破棄に対するアピール文の採択などを検討する考えを示した。
また、平和記念公園(中区)のベンチなどで落書きが見つかり、ブルガリア人の男2人が県警に任意で調べを受けた事件では、ブルガリア外務省からの陳謝の公文書に返信したことを明らかにした。「被爆の実相や核兵器廃絶の思いを広める努力を一層積み重ねる」とし、同国のラデフ大統領たちの広島訪問を求めたという。(明知隼二)
(2018年10月31日朝刊掲載)
松井市長は、国連での核兵器禁止条約の採択などに触れ「被爆者が願う核兵器のない世界に向かう流れがある。核兵器による脅しで国を守る発想自体をなくす必要がある」と指摘。米国とロシアは核拡散防止条約(NPT)により核軍縮の義務を負うとして「この動きを先導するべきだ」と核超大国の姿勢を批判した。
さらに、「被爆者の思いを受け止めてもらえる環境づくりへの方策を協議したい」とし、11月に岐阜県高山市である平和首長会議の加盟都市会議総会で、条約破棄に対するアピール文の採択などを検討する考えを示した。
また、平和記念公園(中区)のベンチなどで落書きが見つかり、ブルガリア人の男2人が県警に任意で調べを受けた事件では、ブルガリア外務省からの陳謝の公文書に返信したことを明らかにした。「被爆の実相や核兵器廃絶の思いを広める努力を一層積み重ねる」とし、同国のラデフ大統領たちの広島訪問を求めたという。(明知隼二)
(2018年10月31日朝刊掲載)