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山口県上関埋め立て免許 期限切れから4ヵ月 反対派、長期審査に不信

 山口県上関町の上関原発建設予定地の公有水面埋め立て免許延長の審査が、昨年10月の期限切れから4カ月を経過した今も続いている。期限切れ直前に3年延長を申請した中国電力に対し、県が補足説明の照会を4回も繰り返しているためだ。山本繁太郎知事は不許可を公言しているが、「予想外」の長期化に反対派は「県は原発推進へ風向きが変わるのを待っているのか」と不信感を募らせている。(金刺大五)

県「照会は適正」

 「延長に正当な理由があるのか、適正に審査している。不明な点があれば、補足説明を求める」。7日に県庁を訪れ、担当者と面談した上関町祝島の反対派住民らはこの言葉に怒りを爆発させた。

 「二井関成前知事の方針を引き継ぐとした山本知事は変節したのか」。怒号が飛び、納得しない住民らは庁舎前や知事室前で座り込みの抗議をした。

 免許の即時、不許可を求める県への申し入れは中電が延長申請をした昨年10月以降、他団体を含め、すでに11回。山本知事は申請を受けた際に「不許可処分をすることになる」と明言しているのに、県と反対派との話し合いは毎回、同じような結果をたどる。

 延長問題について山本知事は、福島第1原発事故を受け、埋め立て予定地の土地利用計画が不透明として、現状では認めないとした二井前知事の方針継承を明言してきた。

 しかし、県は昨秋以降、中電に照会を繰り返し、審査はそのたびに中断。手続きの事務処理は内規では32日以内がめどだが、すでに4カ月が経過した。

 県は適正に審査中とするが、照会内容をほとんど明らかにしないこともあり、反対派は「引き延ばし工作では」と反発。上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表は「国の原発政策が不透明なこの時期の審査に何の意味があるのか」といぶかる。

 中電の回答期限の目安はこの22日。回答を受け県は審査を再開するが、事務処理の目安は残り2日間しかない。ただ、県は5度目の照会も否定しない。

 国の原子力政策は福島原発事故以前は不透明なベールに包まれてきた。しかし、事故を経験し、原発を推進するには国民の理解と合意が欠かせない状況だ。山本知事が不許可と結果を先に明言しながらも、審査事務が長期化する分かりにくさがこれ以上続けば、原発政策自体への不信が増幅することにもなりかねない。

(2013年2月17日朝刊掲載)

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