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個人の被曝線量を再点検 放影研が新年度から

■記者 森田裕美

 放射線影響研究所(広島市南区、放影研)は新年度、調査対象となっている被爆者一人一人が浴びた放射線量の基礎資料を再点検し、研究精度を高めるプロジェクトチームを発足させる。2日に始まった専門評議員会で明らかにした。

 1958年以降、追跡調査してきた被爆者約10万人が対象。被爆者が浴びた放射線量については、原爆が放出した放射線の総量と被爆距離などから被曝(ひばく)線量推定方式「DS02」をあてはめ算出する。

 ただ、被爆状況の聞き取り調査資料の解釈が統一されていない▽位置確認に使用した米軍地図にゆがみがあるなどの問題があるほか、遮へい物の高さや種類などが分からず推定値が「不明」とされた被爆者がいる。

 そこで今後数年かけて聞き取り原票などを中心に基礎資料を再点検し、被爆状況を忠実に反映する手法や統一解釈を検討。被曝推定線量を正確につかむ努力をする。大久保利晃理事長は「残留放射線による内部被曝の可能性が注目されるなか、より正確な個人線量が把握できればさまざまな調査データの信頼度が増す」としている。

 専門評議員会は日米の評議員や、厚生労働省、米エネルギー省の担当者たち計約30人が参加し、非公開で協議。初日は被爆二世調査を継続する研究計画なども報告し、4日に勧告をまとめて閉幕する。

(2009年3月3日朝刊掲載)

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