×

ニュース

14日から長崎で「賢人会議」 広島平和文化センター 小溝泰義理事長に聞く

INF条約 普遍化が重要

 核軍縮と安全保障の関係などが議題となる外務省主催の「賢人会議」が14日、長崎市で2日間の日程で始まる。委員を務める広島平和文化センターの小溝泰義理事長(70)に、米国の中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱方針などの核を巡る現状や、広島から訴えることについて聞いた。(水川恭輔)

 米国が旧ソ連と結んだINF廃棄条約の離脱方針を表明したのは問題だ。後ろ向きに抜けるのではなく、ロシア以外の保有国にも条約参加を広げることなどによって条約をさらに普遍化する方向の議論が重要だ。

 一方、米朝首脳会談などを通じた朝鮮半島の非核化を巡る対話は歓迎できる。日本政府は、平和裏に解決を図る流れが変わらないようにこの動きをしっかり支持すべきだ。さらなる緊張緩和へ、政府自身が果たせる役割も考えてほしい。

 昨年採択された核兵器禁止条約は、核軍縮の前進を促す倫理的、政治的効果が既に期待できる。しかし核兵器の仕組みを知る保有国が交渉に参加しなかったため、核兵器の廃棄を確かめる検証制度が不完全になっている。保有国が条約会合にオブザーバーとしてでも参加し、将来の批准に向けて制度を詰めることを平和首長会議(会長・松井一実広島市長)は求めている。

 昨年度の賢人会議の提言で最も大事な部分は「核抑止は長期的な国際安全保障にとり危険で、すべての国はより良い解決策の模索を」と求めた点だ。核の脅しで紛争や気候変動などの現代の課題は解決できず、事故による爆発や偶発的発射のリスクもある。核抑止とは違う安全保障の方策の対話を深めたい。

賢人会議
 米エネルギー省核安全保障局(NNSA)元局長のリントン・ブルックス氏など10カ国の17人が委員を務める。座長は、白石隆・熊本県立大理事長(国際政治)が務め、被爆者の朝長万左男・日赤長崎原爆病院名誉院長も参加。日本政府が対立する核兵器保有国と非保有国の橋渡しを掲げ、昨年11月に広島市で初会合を開催。3回目の今回は、核抑止の是非などについて話し合う。

(2018年11月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ