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核巡る国際環境「悪化」長崎の賢人会議閉幕

 長崎市での賢人会議(外務省主催)の第3回会合は15日、核軍縮と安全保障の関係などを討議して閉幕した。米国の中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱方針などが議論される中、座長の白石隆・熊本県立大理事長(国際政治)は「核を巡る国際環境が悪化しているという認識を共有した」と総括。来年前半に次回を開き、具体的な解決策の提言に向け議論する。

 非公開の討議終了後、記者会見で2日間の概要を説明した白石氏は「長崎を最後の被爆地にするべきだと、完全に意見が一致した」と説明。一方で、核兵器が安全保障に必要だと訴える保有国の主張と、非人道性を理由に核兵器禁止条約に基づく抜本的な核軍縮を求める非保有国の主張の溝を挙げ、「(橋渡しは)非常に難しい」と述べた。

 白石氏によると、INF廃棄条約を巡り、米ロ以外の保有国も条約に加わる多国化の方策なども議論になった。北朝鮮の非核化については、長崎の委員の朝長万左男・日赤長崎原爆病院名誉院長が「北東アジア非核兵器地帯」創設を提案。ただ、課題解決に向けた具体策については、各委員の提案にとどまったという。

 次回は、今回の意見を基に、来年春の2020年核拡散防止条約(NPT)再検討会議第3回準備委員会での提案を見据えた核軍縮の方策を詰める。広島平和文化センターの小溝泰義理事長は「状況が悪いからこそ、立場の違う両者が核兵器廃絶への対話を重ねることが重要だ」と述べた。

 賢人会議は日本政府が、核兵器禁止条約に反発する核兵器保有国と、推進する非保有国との橋渡しを掲げて昨年11月に広島市で初会合を開催。今回は米ロなど8カ国の専門家15人が出席した。(水川恭輔)

(2018年11月16日朝刊掲載)

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