×

ニュース

核禁止条約 活用を 被爆者や高校生 意見交換

 長崎市での賢人会議では15日、地元の被爆者や高校生たち12人が委員や外務省担当者との意見交換会に臨んだ。核兵器を全面的に禁じる核兵器禁止条約を生かし、一日も早い核兵器廃絶を実現するよう求めた。

 8歳で被爆した長崎の証言の会の森口貢事務局長(82)は日本政府に対し「橋渡しは、核兵器保有国と非保有国の間で傍観することではない」と禁止条約への賛同を要望。高校生平和大使の諫早高2年山西咲和さん(17)も「存在する限り、使われる可能性はゼロにならない」と廃絶を願った。

 自衛の極限状況下で国際法などに沿う核使用はあり得るのかが議題の一つであることを巡って、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の川崎哲(あきら)国際運営委員(49)は「被爆者の体験に照らせば許される核使用はない」と強調。核抑止力に頼る安全保障の危険性を訴えた。

 委員からは、米国のジョージ・パーコビッチ・カーネギー国際平和財団副会長が「通常兵器だけでは安全を守り切れないというのが多くの国の考え方だ。核弾頭を付けた魚雷による水中での潜水艦への攻撃など(無差別攻撃などを禁じる)国際人道法に触れない核使用も考えられる」と主張。カナダのタリク・ラウフ元国際原子力機関(IAEA)検証安全保障政策課長は「仮に法的に触れなくても市民の倫理に触れる。危険で無責任だ」と反論した。(水川恭輔)

(2018年11月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ