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故居森さんの生涯たどる 本川小で被爆 唯一の生存児童

中区で継承の会 夫・医師が紹介

 爆心地から約410メートルの本川国民学校(現本川小)で被爆した児童で唯一助かった居森清子さん(2016年に82歳で死去)の生涯を知り、体験を継承する会が、広島市中区の原爆資料館であった。重複がんと闘い、被爆証言を続けた姿を夫や医師が振り返った。

 夫の公照さん(83)=横浜市=が、居森さんが被爆した時の様子や原爆孤児となった身の上を話した。居森さんは69歳で新聞の取材を受けたのを機に証言活動を開始。がんの痛みを薬で抑えて臨むこともあったという。

 「核兵器が使われないよう体験を伝えるのが、生き残った者の使命と考えていた」と公照さん。「亡くなる前、私に遺志を継ぐよう強く言っていた」と力を込めた。

 医師として向き合った鎌田七男広島大名誉教授は三つのがんを患った居森さんの病歴を説明。死去後に四つ目の疑いが見つかったとし、原爆の非人道性を「(被爆者を)生涯虐待の状態にさせる」と指摘した。(畑山尚史)

(2018年11月16日朝刊掲載)

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