×

ニュース

被爆者協、一般法人に移行 広島 「神田山荘」安定運営へ

 広島市の外郭団体、市原爆被爆者協議会は公益法人制度改革に伴い、一般財団法人に移行する方針を固めた。運営する保養施設「神田山荘」(東区牛田新町)を利用する被爆者が減少する中、一般客を増やして運営の安定化を進めており、公益性のある事業を展開する公益財団法人に認められないと判断した。(田中美千子)

 神田山荘は1973年、被爆者の保養を目的に開館。温泉や宿泊施設は誰でも利用でき、被爆者は利用料を安く設定する。だが近年は利用が低迷。2011年度の年間利用者数は約10万9900人で、ピークの99年度に比べ37%落ち込んだ。

 このうち宿泊施設の利用は被爆者が6~7割を占めてきたが、高齢化に伴いその割合が減少。06年度に初めて一般客が被爆者を上回った。11年度には被爆者の割合は3割まで下がった。

 公益法人改革で既存の財団や社団法人は、ことし11月末までに税制面で優遇措置のある公益法人か、収益事業に30%の法人税率がかかる一般法人になるかを選ぶ。公益法人になれば収益事業は大きく制限される。

 協議会は公益法人化も検討したが、神田山荘の安定運営のため収益を重視せざるを得ず、一般客の利用を促進する必要があるとして一般法人化を選ぶことにした。22日の臨時理事会で決定する予定だ。協議会を所管する市原爆被害対策部は「神田山荘を被爆者に長く使ってもらうための選択。サービスに影響がないようにする」としている。

(2013年2月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ