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「竹島の日」 松江であす式典 交渉進展 迫る機会に

 日韓両国が領有権を主張する島根県・竹島(韓国名・独島(トクト))をめぐって県は、条例で竹島の日と定める22日、記念式典を松江市で開く。全国的に関心が高まった昨年8月の韓国大統領の竹島上陸以後、初の式典となる。式典の意義と成果を探った。(樋口浩二)

 全国の有志約千人でつくる「県土・竹島を守る会」の梶谷万里子事務局長(66)は初開催の2006年以降、毎回出席する。「日本の領土なのは歴史的に明白。国に外交交渉の進展を迫る機会になる」と考える。

 竹島の日制定の背景には政府の竹島編入から100年の05年を前にしても、国が問題解決の姿勢を示さなかったことがある。「『国が動かないなら県から』と議会がまとまった」。制定を発案した超党派の県議会竹島領土権確立議員連盟の細田重雄元会長(75)は振り返る。「啓発や教科書への記述など成果が出た」と自負する。

 県や県議会が重視してきたのが、外交交渉を担う政府関係者の式典出席だった。過去7回、出席はゼロ。だが、李明博(イミョンバク)大統領の上陸で状況は一変。今回は初めて、島尻安伊子内閣府政務官が出席する。

 上陸を受け、国は50年ぶりに国際司法裁判所への共同提訴を提案。13年度、初の有識者による調査研究事業にも乗り出す。「ようやく始まった国の取り組みを後押しできる」。溝口善兵衛知事は式典の意義をこうみる。

 しかし、自民党が昨年の衆院選の政権公約に明記した国主催の式典開催を韓国への配慮から見送り、外交交渉の難しさを露呈した。

 「相手があるのは理解できるが、もどかしい」。父と兄、叔父が1954年まで竹島周辺で漁をした隠岐の島町の漁業八幡昭三(しょうざ)さん(84)は漏らす。

 一方、竹島問題の影響で日本海のズワイカニ漁が制限されるなど実害を被るJFしまね(松江市)。岸宏会長(68)は「式典が問題の理解と国による漁業者の救済につながってほしい」と訴えている。

≪竹島をめぐる日韓の動き≫
1905年    ・政府が「竹島」と命名、島根県への編入を閣議決定
  52年    ・韓国が日本海上に沿岸水域の主権を示す「李承晩ライン」を設定、竹島の領有権を主張
  65年    ・日韓基本条約締結、国交正常化。日韓漁業協定の調印で李承晩ラインは消滅
  99年    ・新日韓漁業協定が発効。周辺海域を両国の共同管理とする暫定水域に指定
2005年    ・島根県議会が2月22日を「竹島の日」とする条例を制定
  06年    ・島根県などが「竹島の日」記念式典を初開催
  12年8月  ・韓国の李明博大統領が竹島に上陸

竹島
 島根県・隠岐諸島の北西157キロに位置し、東西二つの島と岩礁から成る。総面積は0・21平方キロ。韓国が1954年から警備隊を常駐させ、灯台やヘリポートを建設するなど実効支配を続けている。

(2013年2月21日朝刊掲載)

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