×

ニュース

「地下室の奇跡」 郷里で25日証言 袋町国民学校で被爆 現在唯一の生存者 友田さんの半生

 爆心地から約460メートルの広島市袋町国民学校で被爆し、現在は唯一の生存者となる友田典弘(つねひろ)さん(82)=大阪府=が、原爆による波乱の半生を25日、郷里の聴衆を前に初めて語る。中区の袋町小平和資料館が「地下室の奇跡」と名前をイニシャルで伝える児童は、孤児となり韓国で15年間を過ごした。

 1945年8月6日、4年生だった友田さんは弟幸生さん=当時(8)=と登校し、「げた箱がある地下室で靴を脱ごうとしたらピカッと光った」。階段を先に上がった弟は死んでいた。助かった児童は地下室に偶然いた3人だけであった。

 自宅は大手町(現中区)にあり、父は既に病死。母タツヨさん=同(30)=を捜したが、見つからなかった。下宿していた朝鮮人男性に伴われ、対馬海峡を一緒に渡った。金烔進(キム・ヒョンジニ)と名づけられた。

 日本の植民地統治から解放間もないソウルで、市場の使い走りなどをしながら言葉を覚えた。砲弾が目の前で飛び交う朝鮮戦争も体験した。日韓は国交が当時なく、念願の帰郷がかなったのは60年。しかし広島にはなじめず、大阪に出てようやく生活を再建した。

 友田さんの証言は25日午後1時半から、袋町小隣の合人社ウェンディひと・まちプラザ6階で。参加は当日申し込みも可能。問い合わせは多賀俊介さん☎090(6432)5054。(西本雅実)

(2018年11月22日朝刊掲載)

年別アーカイブ