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サーローさんと平和交流心待ち 生徒の手紙が縁 三次高で30日対面

英語演説へ練習重ねる

 広島市南区出身の被爆者で、昨年12月に非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))を代表してノーベル平和賞授賞式で演説したサーロー節子さん(86)=カナダ・トロント市=が30日、三次市の三次高を訪れ、生徒と交流する。演説に感動したという内容の手紙を同校の生徒がサーローさんに送ったのが縁。生徒は念願の対面を楽しみに、スピーチの練習などに励んでいる。

 手紙の送付は、同校英語科主任の殿重達司教諭が授賞式の演説を聞き、「歴史に残るスピーチだと感じた。感動を生徒と共有し、直接、サーローさんに伝えたい」と考え、授業で生徒に提案した。当時の1、2年生の92人が演説の感想を英語と日本語でつづり、今年2月にトロントのサーローさんの自宅に送った。

 手紙を受け取ったサーローさんは「何よりの励まし。思いがけない感動だった」と同校訪問を熱望。4月には同校に国際電話をかけた。午後5時すぎで留守番電話の設定になっていたが、サーローさんは感謝と故郷に帰る11月に訪問したい意向の言葉を吹き込んだ。これを聞いた生徒たちは喜び、6月に歓迎のはがきを再び送った。9月にICANの国際運営団体NGOピースボート(東京)から殿重教諭に連絡があり、訪問が決まった。

 生徒はサーローさんとじっくり話をしようと、対話形式での交流会を開く予定で、ESS(英語)部の生徒は当日、サーローさんの演説で感銘を受けた部分を英語でスピーチし、その理由について話す。2年森元真紀さん(17)は「核兵器を『絶対悪』と言ったサーローさんの言葉にはとても重みがあった。平和の実現に向け、日本にいる自分たちに何ができるのか尋ねたい」と目を輝かせる。

 殿重教諭は「これ以上にない貴重な機会。生徒にはサーローさんと十分語り合い、信念を曲げない生き方を学んでほしい」と対面を待ち望む。(八百村耕平、金崎由美)

(2018年11月23日朝刊掲載)

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