×

ニュース

朝鮮学校補助金 広島県・市 支払わず 山口県交付 予算化は見送り

 北朝鮮による拉致問題や核実験の実施を受け、中国地方の自治体で朝鮮学校への補助金の交付を取りやめる動きが相次ぐ。広島県と広島市は2012年度分を支払わないと決定。両県市と山口県は13年度当初予算案に計上しなかった。岡山県は引き続き補助する予定で対応は分かれる。

 広島県は21日、広島朝鮮初中高級学校(広島市東区)を運営する広島朝鮮学園(同)に12年度分の補助金を交付しないと表明。授業料軽減と学校運営費への補助金として計987万円を予算化していたが、湯崎英彦知事は「核実験強行なども考慮し県民の理解は得られない」と語った。

 広島市も中学生以下の授業料と教職員の研修費に対する1134万円を交付しない。市教委は「拉致問題や核実験を受けた市民感情に配慮した」とする。

 山口朝鮮初中級学校(下関市)に子ども1人当たり5万円を補助してきた山口県。12年度分の225万円は近く交付するが、13年度当初予算案には盛り込まなかった。同様の制度を持つ下関市は12年度分の24万円を交付済み。13年度当初予算案に計上した25万円の交付の可否は、3月10日投開票の市長選で当選した市長が決める。

 政府は今月20日、朝鮮学校を高校無償化の対象外とした。一連の動きに、広島朝鮮学園の韓政美(ハンジョンミ)理事長は「突然の方針転換で困惑している。県と市に再考を求めたい」と主張。山口朝鮮初中級学校の鄭万石(チョンマンソク)校長は「根拠が分からない」と話す。

 一方、岡山朝鮮初中級学校(倉敷市)に補助金を出す岡山県と倉敷市に見直しの動きはない。岡山県は「周辺自治体の動向を見て議論が起こる可能性はある」としている。

<朝鮮学校に対する自治体の補助金の取り扱い>

    2012年度予算               13年度予算案
広島県 987万円を計上。交付しない      予算計上せず
広島市 1134万円を計上。交付しない     予算計上せず
山口県 225万円を計上。近く交付        予算計上せず
下関市 24万円を計上。交付済み        25万円を計上
岡山県 20万円を交付済み                ※
倉敷市 180万円を計上。交付済み       180万円を計上

※は施設整備に対する補助金。金額は未定

(2013年2月22日朝刊掲載)

年別アーカイブ